NPO法人KENTOは
交通事故死者・重傷者ゼロを目指す『ビジョン・ゼロ』を提案します。
「交通事故がゼロの社会なんて実現できっこない」
そんな固定観念にとらわれない様々な取り組みが始まっています。
すでに日本をはじめとする多くの先進国で、究極に安全な交通環境を目指し、心理学やハイテクを用いた様々な取り組みがなされています。
スウェーデンでは国を挙げて交通事故死者・重傷者をゼロを目指す「Vision Zero」運動が推進されています。
かけがえのない家族、友人、知人を交通事故から守るために、そして交通事故が永久に社会から無くなることを目指し、わたしたちは活動を続けていきます。
ひとつの交通事故の真相究明を求め、ゼロから出発したわたしたちの活動は今『交通事故ゼロ』に向かい前進します。
日本の交通事故の現状
平成15年度の統計では、交通事故から24時間以内の死者数は8,326人で、近年は減少傾向にあると言われています。
しかし、これには救急医療の発達も影響しており、交通事故の発生件数、死傷者数は、ほぼ横ばいの状態が続いています。
また事故から1年以内に亡くなった人も含む場合、交通事故死者数は年間約10,000人にも達しており、毎日約30人が交通事故の犠牲となっているのです。(児島健仁君もこの中に含まれています)
スウェーデンに学ぶ「ヴィジョン・ゼロ」
現在国を挙げて交通事故ゼロを目指しているスウェーデンも、かつては日本と同じようにクルマ社会の発達による問題を抱えていました。両国での取り組みの違いをご紹介します。
Vision Zeroを参考にした交通事故撲滅化への取り組みについて(PDF)
クルマ社会を問い直す会のVision Zeroに関する資料(PDF)
『ビジョン・ゼロ』を実現するための5つの提案
交通事故をゼロにするための方策として、KENTOでは以下の5つの提案を掲げ、活動しています。
徹底した事故捜査(科学捜査)と早期の情報開示
交通事故をなくしていくには、これまでに起こった事故の原因を詳しく知ることが必要です。しかし実際には、加害者の主張を鵜呑みにすることが多く、事故現場を詳しく検証するといった科学捜査はほとんど行われていないのが現状です。事故現場には必ず何らか痕跡が残されており、それを詳細に検証することで、中立的な視点に立って事故の真相に近づくことができます。
また、捜査情報を早期に開示することも、捜査の矛盾や検証の漏れをチェックする上でとても重要です。
死亡・重傷事故については正式起訴して裁判を行うこと
交通犯罪の厳罰化・職業運転手と一般運転手とでの罰則の区分け
運転者教育体制の強化
交通事故を起こすのは人であり、車を運転する運転者の意識を変えることが交通事故をなくす取り組みの基本となります。
特に重要なことは、「交通事故を起こしてはならない」ということを広く意識づけ、実践することであり、そのために以下のような教育体制の整備が必要だと考えています。
- 自動車学校等において、安全運転意識の向上を重視した教育を行う。
- 運転免許保有者への教育を頻繁に行い、内容も充実させる。
- 交通違反者への再教育を、より厳格かつ効果的なものにする。
- 高齢運転者の適正検査や、教育をより強化する。
最先端技術の早期実用化
飲酒・暴走などの極端に悪質な例を除けば、交通事故の原因の多くは運転者の認識ミス(見落とし)、判断ミス、操作ミス(ブレーキとアクセルの踏み間違い、ハンドル操作の間違い)の3つに大別できます。これらのミスをカバーすることも、交通事故をなくす上で重要です。
現在、日本を含めた各国では「ITS(Intelligent Transport System 高度道路交通システム)」の開発が進められており、交通安全に関連する技術も数多く存在します。実用化されているものでは、カーナビゲーション、ETCが広く普及しているほか、自動の追突防止ブレーキ、歩行者を認識するレーダーなども普及しつつあります。
また、スウェーデンでは学校付近で自動的に速度を30km/h以下に制限するシステムも導入されており、このような技術の実用化と普及が交通事故ゼロを実現する上で大きな役割を持つものと考えています。
※右図はスウェーデンの例。学校付近では自動的に30km/h以下に制限される。
導入前は賛否両論があったが、導入後の評判は上々だという。
イラスト提供 / ERTICO
記事出典 / 朝日新聞